子どものむし歯予防として、歯医者ではフッ素が塗られています。しかし、そもそもフッ素とは何で、歯に塗るとどのような効果が期待できるのか疑問に感じている人は少なくありません。
そこでこの記事では、フッ素の働きや歯に塗るメリットを紹介します。
目次
■フッ素とは?子どもの歯にどう働くのか?
歯科医院で使用されるフッ素は、フッ化ナトリウムやフッ化カルシウムといったフッ素化合物です。ここでは、フッ素の働きと歯への効果を解説します。
◎フッ素の働き
歯科で使用されるフッ素は、子どもの歯をむし歯から守るために主に三つの働きがあります。
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歯質の強化:フッ素は歯の表面のエナメル質に取り込まれ、むし歯の原因となる酸に強い歯質を作ります。これにより、むし歯になりにくい丈夫な歯を育てることができるのです。
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再石灰化の促進:歯の表面が酸で溶け始めたとき、フッ素はカルシウムやリンと結びつき、歯のミネラル成分を補給して溶けた歯を補充(再石灰化)する働きがあります。これにより初期むし歯の進行を防ぐ効果が期待できます。
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むし歯菌の抑制:フッ素はむし歯菌の活動を抑制し、酸を作りにくくする働きがあります。そのため、フッ素を歯に塗るとむし歯のリスクを抑えることができると期待されているのです。
◎フッ素塗布が子どものむし歯予防に効果的な理由
フッ素塗布が子どものむし歯予防に効果的な理由は、歯質の強化、再石灰化、むし歯菌の抑制という3つの働きのためです。
歯質が強化されることで酸に強い丈夫な歯になります。さらに、初期むし歯で溶けかけた部分を再石灰化することで修復され、むし歯の進行を防ぐことができます。
そして、むし歯菌の活動を抑制することで、歯を溶かす酸の生成を減らし、むし歯になるリスクを低くします。
◎フッ素は安全なの?
フッ素は、大量の取り込むと中毒症状があらわれる可能性がありますが、歯科で使用されるフッ素は、安全に使用できるように濃度が調整されています。そのため、子どもの年齢や歯の状態に合わせた量を使用していれば過剰な心配をする必要はありません。
家庭でフッ素入り歯磨き粉を使う場合も、年齢に合った量を守ることが大切です。飲み込む量が多すぎると、一時的に体に影響が出る場合がありますが、正しい量を守って使用すれば、むし歯予防に役立ちます。
■子どものむし歯を予防するには
子どもの歯をむし歯から守るためには、歯科医院でフッ素塗布と家庭でのフッ素ケアを両方取り入れることが重要です。これにより、歯質の強化、再石灰化による初期むし歯の修復、むし歯菌の抑制というフッ素の3つの働きを効果的に活かすことができます。
◎定期的に歯科医院でフッ素を塗布する
歯科医院で定期的にフッ素を塗布することは、子どものむし歯予防に役立ちます。歯科医院で塗布できるフッ素は市販で購入できるフッ素入りの歯磨き粉よりも高濃度のため、より強力に作用します。
フッ素塗布の頻度は、3~6ヶ月に1回程度で、食後や歯磨き後に行うと効果的です。塗布後30分程度は飲食を控えることで、歯に長くフッ素をとどめられます。
さらに、フッ素塗布だけでなく、むし歯になりやすい奥歯の溝を埋めるシーラント処置や、歯の表面や歯間の汚れを落とすクリーニングもむし歯予防には大切です。
加えて、歯科医師や歯科衛生士によるブラッシング指導により、子どもが正しい磨き方を身につけられるようにサポートします。家庭での仕上げ磨きのために、親御さんも一緒に磨き方を身につけることも重要です。
また、むし歯になりにくい環境を作るために、砂糖の摂取量や間食の取り方など食生活指導を受けることも、子どものむし歯予防に役立ちます。
◎家庭でフッ素入り歯磨き粉や洗口剤を使用する
家庭での毎日の歯磨きに、フッ素入り歯磨き粉を取り入れることがむし歯予防に大切です。年齢に合った量を使い、歯全体に行き渡るように丁寧に磨くようにしましょう。どのぐらいの量のフッ素入り歯磨き粉を使えばいいのかは、歯科医師に確認してください。
お子さんが小さなうちは、磨き残しが無いように親御さんが仕上げ磨きをしてあげる必要があります。
フッ素ジェルや洗口剤を併用すると、普通に磨くだけでは届きにくい部分までフッ素の効果が及ぶので、むし歯になりやすいお子さんには特に効果的です。
定期的な歯科医院でのフッ素塗布と家庭でのフッ素入りケア用品の利用を組み合わせることで、子どもの歯をむし歯からしっかり守ることができます。
【小さいうちからむし歯予防の習慣を身につけましょう】
フッ素塗布は、歯科医院と家庭の両方で取り入れることで、より効果的なむし歯予防が期待できます。
つづき歯科では、フッ化物塗布だけではなく、食生活指導やブラッシング指導、シーラント処置、食育指導を通してお子さんの歯をむし歯から守るように努めています。お子さんの歯に少しでも不安があるかたは、当院までお気軽にご連絡ください。