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舌癖を放置するとどうなる?歯並びや顎への影響を歯科医師が解説

2026年7月9日
舌癖を放置するとどうなる?歯並びや顎への影響を歯科医師が解説

その舌の癖、放置していませんか?歯並びと顎への影響を知りましょう


「気づくと舌を前に突き出している」「歯の裏側を無意識に触っている」——こうした舌の癖が、歯並びや顎の発育に関わる可能性があることをご存じでしょうか。豊田市のつづき歯科が、舌癖の種類や考えられる影響、セルフチェックの方法、受診の目安までを歯科医師の視点でわかりやすくお伝えします。


この記事の要点まとめ


  • 舌癖とは無意識に舌を不適切な位置に置く習慣で、口呼吸や低位舌などが背景にある場合がある
  • 放置すると開咬・出っ歯・顎の発育への影響・発音の乱れなどが生じる可能性がある
  • 気になる場合はMFT(口腔筋機能療法)を含む歯科での総合的な確認が選択肢となる

そもそも「舌癖(ぜつへき)」とは?無意識に行ってしまう代表的な種類と主な原因

そもそも「舌癖(ぜつへき)」とは?無意識に行ってしまう代表的な種類と主な原因

舌癖とは、無意識のうちに舌を不適切な位置に置いたり、動かしたりしてしまう習慣のこと。舌は大きな筋肉のかたまりで、その位置や動きが歯並びや顎の発育に影響を及ぼす可能性があると考えられています。まずは代表的なタイプと、その背景にある原因を整理してみましょう。


上下の前歯の間から舌を突き出す「舌突出癖(ぜつとつしゅつへき)」


舌突出癖は、話すときや飲み込むとき、あるいは安静時に、上下の前歯の隙間から舌を前方へ押し出してしまう癖のこと。人は1日におよそ2,000回ほど唾液を飲み込むといわれ、その一回ごとに舌が前歯を押していると、弱い力でも持続的な負荷となって歯の位置に影響が出やすくなります。無意識下で起きるため、本人もご家族も気づきにくい点に注意が必要です。


特定の歯を舌で裏側から押し続ける「歯列押し付け癖」


リラックスしているときや何かに集中しているときに、前歯や側方の歯の裏側を舌先で押し続けてしまう癖もあります。一回の力は弱くても、長時間・長期間にわたって加わり続ける圧は、歯を少しずつ動かす要因になり得ます。テレビを見ているとき、勉強や仕事の最中など、日常のさまざまな場面で無意識に繰り返されている点に注意が必要です。


舌癖が生じる背景にある「口呼吸」や「扁桃肥大」などの原因


舌癖の背景には、鼻づまりによる慢性的な口呼吸や、扁桃肥大などで気道を確保しようと舌の位置が下がる「低位舌」があります。加えて、指しゃぶりの長期化、姿勢の乱れ、軟らかい食事に偏った食生活なども関係するとされます。舌癖は単独で起きているわけではなく、呼吸や姿勢、生活習慣と結びついているケースが多いのです。


舌癖を放置することで引き起こされる歯並びや顎への4つの深刻な影響


舌癖を長期間そのままにしておくと、歯並びや噛み合わせ、顎の骨格、さらには発音や咀嚼機能にも影響が及ぶ可能性があります。ここでは代表的な4つの影響を見ていきましょう。


上下の前歯が噛み合わなくなる「開咬(かいこう)」のリスク


開咬とは、奥歯を噛み合わせても上下の前歯の間に隙間が残る状態のこと。舌を前歯の間に押し出す動きが繰り返されると、前歯が本来閉じるべき位置に収まりにくくなるとされています。開咬は前歯で食べ物を噛み切りにくく、発音にも影響しやすい不正咬合の一つとして知られています。


前歯が外側に押し出されて生じる「出っ歯(上顎前突)」


舌が常に前歯の裏側を押していると、前歯が少しずつ前方へ傾き、いわゆる出っ歯(上顎前突)の状態を招いたり、進行させたりする可能性があります。口呼吸を伴っている場合は、唇による内側からの抑えも弱まるため、より前方への傾斜が進みやすい傾向が指摘されています。


成長期の顎の骨格発育不全や顔立ちの非対称化


本来、舌先は上顎の裏側にある「スポット」と呼ばれる位置に軽く触れているのが望ましい状態とされます。舌が下に落ちた低位舌では、上顎への内側からの適切な刺激が減り、上顎の横幅が十分に広がらず、狭くV字型のアーチになりやすいと指摘されています。成長期のお子様では、顎の発育や顔立ちのバランスにも関わる可能性があります。


サ行・タ行などの発音障害や咀嚼(そしゃく)能率の低下


見た目だけでなく、機能面への影響も見過ごせません。前歯の間から舌が出やすい状態では、サ行・タ行・ナ行などの発音が不明瞭になることがあります。噛み合わせが乱れることで、食べ物を細かくすりつぶす咀嚼効率の低下にもつながる可能性があります。


【状況別の分岐】成長期のお子様と大人で異なる舌癖の放置リスク


舌癖の影響は、年齢によって現れ方が異なります。成長期のお子様と大人では、注意すべきポイントも変わってきます。


骨格の健やかな成長への影響やむし歯リスクが気になる「お子様期」


成長期のお子様は、顎の骨格がまだ発達の途中にあります。この時期に舌癖や口呼吸が続くと、上顎の幅が広がりにくくなり、歯が並ぶスペースが不足して歯列がガタつきやすくなったり、開咬・出っ歯などの不正咬合につながる可能性があります。さらに、口呼吸を伴うと口腔内が乾燥し、唾液による自浄作用が働きにくくなるため、むし歯や歯肉炎のリスクが高まる傾向があるとされています。成長のタイミングを逃さず、早めに歯科医院へ相談することをおすすめします。


矯正治療後の後戻りや歯周組織への負担が気になる「大人」の場合


大人の場合、顎の骨格そのものが大きく変化することは少ないとされますが、舌からの持続的な圧力は歯の位置を少しずつ動かす要因になり得ます。せっかく矯正治療を行っても、舌癖が残ったままでは歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」の一因になることがあります。特定の歯に負担がかかり続けることで、歯周組織へのダメージや歯周病の進行に関わる可能性も指摘されています。豊田市で矯正治療をご検討中の大人の方も、舌の癖を含めた総合的な確認をおすすめします。


自宅でできる舌癖セルフチェックとつづき歯科でのアプローチ


舌癖は無意識のうちに行われているため、まずはご自身やお子様の舌の位置を意識してみることが第一歩になります。


あなたの舌はどこにありますか?正しい位置と簡易セルフチェック


リラックスして口を閉じたとき、舌先はどこに触れているでしょうか。望ましいのは、舌先が上の前歯の少し後ろにある膨らみ(スポット)に軽く触れ、舌全体が上顎に吸い付くように収まっている状態とされています。下の前歯の裏に舌が当たっている、歯と歯の間に舌が挟まっている、口が半開きになっている——こうした状態があれば、舌癖や低位舌が疑われます。飲み込むときに唇や頬に力が入る、舌が前に出るといった動きも一つの目安になります。


お口のトレーニング「MFT(口腔筋機能療法)」と受診のタイミング


当院では、豊田市の患者さまに向けて、舌やお口周りの筋肉のバランスを整えることを目的とした「MFT(口腔筋機能療法)」を取り入れています。舌の正しい位置や飲み込み方、呼吸の仕方をトレーニングによって少しずつ習慣化していく方法で、矯正治療と組み合わせて行うこともあります。当院では、口育士の資格を持つ院長のもと、お子様から大人まで一人ひとりの状態に合わせたアプローチを心がけています。「ただの癖」と自己判断せず、気になった時点で一度歯科医院にご相談いただくことが、将来の歯並びやお口の健康を守る一歩になります。


よくある質問(FAQ)


Q1. 舌癖は成長とともに自然に治りますか?

A. 軽度の場合は成長や生活習慣の変化で改善することもありますが、口呼吸や低位舌などが背景にあると、自然な改善は期待しにくいとされています。気になる場合は歯科医院での確認をおすすめします。


Q2. 何歳から舌癖の相談ができますか?

A. 明確な年齢制限はありませんが、乳歯が生えそろう時期以降であれば、状態の確認やアドバイスができるケースが多くあります。永久歯への生え変わり時期は、特に相談しやすいタイミングです。


Q3. 大人になってからでもMFTは取り組めますか?

A. 大人の方でも、舌や口周りの筋肉のバランスを整えることは可能とされています。矯正治療の後戻り予防や、噛み合わせの安定を目的に取り入れられることもあります。


Q4. 舌癖のトレーニングは保険適用になりますか?

A. 内容や併用する治療によって扱いが異なります。自由診療となる場合もあるため、詳しくは診察時にご確認ください。


Q5. 舌癖と口呼吸はどちらを先に整えるべきですか?

A. 両者は密接に関連しているため、どちらか一方だけでなく総合的にアプローチすることが望ましいと考えられます。耳鼻科的な要因がある場合は、耳鼻咽喉科との連携が必要になることもあります。


都築 秀幸

医師


つづき歯科

院長

都築 秀幸

▶ 監修者プロフィール

経歴
2011年 日本歯科大学新潟生命歯学部 卒業
2011年 愛知学院大学歯学部附属病院 総合診療科
2012年 名古屋市内歯科医院 勤務
2018年 つづき歯科医院 常勤
2019年 つづき歯科 開業
資格・所属学会
【所属学会】
・日本ヘルスケア歯科学会
・JSPP(全国小児歯科開業医会)
・公益社団法人日本糖尿病協会
・日本小児矯正研究会
・日本顕微鏡歯科学会
・日本口育協会
【資格】
・インビザラインドクター
・日本糖尿病協会登録歯科医
・口育士